整形外科
整形外科
整形外科的な疾患は全般的に取り扱っていますが、脊椎疾患、膝関節・股関節疾患、外傷が診療の中心となっています。
脊椎疾患
頚椎症性脊髄症、頚椎椎間板ヘルニア、腰部脊柱管狭窄症、腰椎椎間板ヘルニア、骨粗鬆症性脊椎椎体骨折を代表とする脊椎疾患の診断、治療を行っています。
診察および画像評価(単純X線検査やMRI検査等)を行い、痛みや両手足のしびれの原因を調べ、病態に応じた治療を提供します。頚椎疾患は、保存療法での改善が難しいことも多く、手術療法を行うことも多いです。腰椎疾患は、投薬や仙骨ブロック等による保存療法を行います。これらの治療にも関わらず、改善を認めないときに手術療法を行っています。骨粗鬆症性脊椎椎体骨折は、保存療法が優先されますが、病態に応じ、侵襲の少ない経皮的椎体形成術(BKP: Balloon Kypho Plasty)も行っています。腰椎椎間板ヘルニアに対して、当院でも椎間板内酵素注入療法という新規の治療方法を導入しています。これは、からだを切らないで、障害椎間板内にヘルニコア®(コンドリアーゼ)という注射液を注射する侵襲の少ない治療方法です。
当院脊椎手術の診療実績
2019年度 | 114件 |
2020年度 | 127件 |
2021年度 | 140件 |
2022年度 | 130件 |
2023年度 | 135件 |
関節疾患
高齢化社会を迎え多くの方が高齢でも元気な生活を送っていられる中で、関節の加齢性変形による痛みや運動制限などが生活障害の原因となっております。当院ではそのような患者さんの痛みを和らげ生活の質をより高いものとするために様々な治療法を行っております。
特に多い膝、股の変形性関節症に対してはまずは下半身の筋力強化やシェイプアップなどの運動療法を行い、それに並行して内服薬や関節内注射などの薬物療法を行っております。また痛みの強い場合には適応に応じてステロイドの関節内注射も行っております。しかしそのような保存療法の効果が乏しく、痛みや関節の動作制限で日常生活に支障をきたしている方には積極的に手術療法を勧めております。
手術は変形性関節症に対しては主に人工関節置換術を選択しております。人工股関節置換術では筋組織に対するダメージや脱臼など合併症リスクの少ない前方侵入法で手術を行っております。人工膝関節置換術では患者さん固有の骨切りガイドや小型ナビゲーションシステムなどを症例に合わせて使用し、より正確な人工関節の設置を目指しております。また適応に応じて肩や肘の人工関節置換術も行っております。
全ての関節手術において手術部位の術中鎮痛薬注射や硬膜外麻酔、鎮痛薬の内服などを組み合わせて可能な限りの術後の除痛を行うとともに、早期回復・退院を目指して積極的にリハビリを進めていきます。
関節リウマチ
関節リウマチは自己免疫の異常により全身の関節変形・破壊をきたす病気で、国内での患者数は80万人程度で女性は男性の約3倍高い発病比率となっています。発症年齢は30~50歳の方が多いですが、近年高齢発症の傾向にあるといわれています。
当院では関節リウマチの治療を行っており、関節リウマチと診断された方には積極的に抗リウマチ薬の投与を行います。治療の中心はメソトレキサートと呼ばれる免疫抑制剤の内服ですが、症状や副作用の可能性に応じて他の内服薬剤も使用します。また内服初期治療で治療目標に達しない場合には、生物学的製剤の使用を行って早期の関節リウマチ寛解を目指しております。現在当院では複数の注射・内服生物学的製剤の使用が可能です。抗リウマチ薬の使用前には全身状態の検索を詳しく行い、副作用のリスクがなるべく少なくなるよう慎重に治療を行っております。
そのような薬物治療を行っても関節リウマチの進行を抑制できる確率は、現在のところ70%程度といわれております。関節の破壊抑制が困難であったり、また過去の発症ですでに関節破壊が進行している患者さんには、人工関節置換術を中心とした手術を行い除痛や歩行能力改善を目指します。また生物学的製剤を使用しても上下肢の小関節の障害が進行してくることはあり、そのような方に関節形成術や腱形成術など生活能力改善のための手術を行うことがあります。
人工膝関節全置換術
骨粗鬆症
骨粗鬆症の診断は骨密度の測定と骨代謝マーカーの血液検査で行い、治療は内服薬による進行の予防とヒッププロテクター装用等による骨折の予防対策が主体となっています
(大腿骨頚部骨折)
骨粗しょう症が高度な場合には、転倒によって大腿骨頚部を骨折する症例も少なくありません。
糖尿病や循環器疾患などの併発症をお持ちの患者さんも多いのですが、放っておくと寝たきりになる大変な骨折ですので、通常は手術的に治療しています。当院でも一部の症例は手術を行いますが、重篤な合併症併発例や90歳近い方々の場合は近隣の大総合病院に手術をお願いしています。当院では、武蔵野赤十字病院、杏林大学病院及び多摩総合医療センターの整形外科と地域連携パスという病院間の治療連携体制を組んでおり、手術終了後の早期に当院に移って戴き、退院先の状況に即応したリハビリテーション治療を行っております。
骨・関節外傷
四肢の捻挫、脱臼及び骨折に関しても高齢者の多い当院では手術を選択することは少ないのですが、骨折部が極めて不安定な骨折では手術を選択します。
また、手術療法を選択した場合に治療期間を短縮する目的で当院では先進医療に分類されている新しい治療法も導入しています。即ち、超音波骨折治療器を用いて骨折部位に低出力超音波パルスを照射する方法で、その有効性は有名スポーツ選手の骨折治癒期間の驚異的短縮などで示されております。四肢の運動機能障害を来す病態は上記疾患群以外にも色々あります。
ご相談に応じますので、何なりとお問い合わせ下さい。