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桜町高齢者在宅サービスセンター 先輩たちの物語 包括支援係 松村 麻衣子

2022.12.31 ブログ - 高齢部門

福祉業界を選んだ理由

新卒のときは、社会貢献できそうという単純な理由でマスコミに入りました。職場結婚を機に6年ほどで退職。その後は主婦業との両立を最優先に仕事を選んできました。子育てのかたわら資格を取り、娘の小学校進学を機に幼稚園の教師となり10年勤めましたが、発達障害の子どもとの関わりから障害児教育に関心を持ち、知的障害者施設に。ところが児童でなく高齢者の担当となり、以来、リハビリ病院、特養など、高齢分野で仕事をしてきました。
ヨハネ会に出会ったのは学生時代。当時、死生学に興味があり、日本初のホスピス開設という点に注目していました。今回、娘の進学のため武蔵野に転居したことで、30年の時を経て、思いがけずヨハネ会とご縁ができました。

ご利用者さまへの支援で大切にしていること

教師をしていた頃から、「尊厳の保持」を大切にしてきました。人間を多面的な存在と捉え、安易に「こういう人だ」と決めつけないこと、誰もが果たすべき使命を持った存在だと考えること、より良い変化への可能性を信じること、それらを意識して相手と向き合う努力をしてきました。
でも、それでは不十分だということを、最近、あるカンファレンスの場で福山和女先生(福祉のテキストでおなじみの方です)より、以下のたとえ話とともにご指摘いただきました。
「翌日、大きな手術を控えた患者のベッドに、医師が訪ねてきました。その時患者が言いました。『先生、明日手術なので、私とても緊張しています』。すると医師は答えました『ぼくも初めての手術なので、とても緊張しています』。さて、ここでは誰の尊厳が脅かされているでしょうか…」
包括で直面するケースは課題が複雑なことも多く、まだ周囲に相談しながら手探りでやっています。「自分のように経験の乏しい者が担当で申し訳ない」と、つい思いがちなのですが、それは上記の例で「手術は初めて」と医師が患者に打ち明けることと同様、専門職としての自分の尊厳を傷つけ、利用者の安心を脅かす無責任な態度だと気づかせて頂きました。ただ、専門職としての尊厳の保持のためにはそれだけの力量が必要であり、改めてこの仕事の厳しさを痛感しています

コミュニケーションで大切にしていること

適切な支援を行えるよう、不安な点、迷った点について管理者から指導を受けるだけでなく、日頃から自分の実践全般について他のスタッフにも共有をお願いし、意見をもらうようにしています。
前職では相談員1名体制で、直属の上司が施設長だったため、日常業務の細かなことまで相談することが難しい環境でした。今は周りを向けば、いつでも気軽に相談でき、親身に応えてもらえるので、とてもありがたいです。また、経験豊富なスタッフが、いわゆる困難ケースに根気よく関わり、少しずつ課題を解きほぐし、他機関とも連携しつつ解決へと歩みを進めていく姿を間近で見ることもでき、とても勉強になっています。

5年後、10年後のことについて

実は、40代後半から、自分の療養や両親のケアのため、ほぼ1年おきくらいに介護離職を繰り返していました。ヨハネ会に勤めてようやく1年ですが、また家族に新たな心配事が起こり、5年先どころかこの先の見通しにも不安があります。これまでの私なら、もう無理だと諦めてしまったところですが、業務を通して得た経験を活かし、何とか仕事と介護の両立を模索したいと思っています。
30年前、私が社会人になった頃は、55歳定年が一般的でした。今は70代でも現役で活躍されている方が大勢いらっしゃいます。なかでも福祉現場は、プライベートでの経験を、利用者さまへのより良い支援に生かす可能性がある職場です。あらゆる経験を支援者としての糧にできるよう、前向きに頑張っていきたいと思います。

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